HOME > 脱原発と結び福島原発事故被災者支援 > 2019/06/12第16回政府交渉報告

6月12日政府交渉の報告

6月12日に行われた脱原発福島県民会議をはじめ9団体の政府交渉に、福島からの5名をはじめ47名が参加し、復興庁、原子力災害対策本部、原子力規制庁、資源エネルギー庁との交渉を行いました。
復興庁あて質問書    原災本部あて質問書    規制庁・資源エネ庁あて質問書
政府交渉案内チラシ  「放射線のホント」撤回署名ニュース第4号(6.12政府交渉に向けて)

日時:6月12日(水) 12:30〜16:30 会場:参議院議員会館 B109会議室
12:30〜 打ち合わせ
13:00〜 復興庁省との交渉
     ・復興庁パンフレット「放射線のホント」の撤回
     ・福島原発事故被ばくは「公衆の被ばく限度年1mSvの法令」違反
14:00〜 原子力災害対策本部との交渉
     ・年20mSv規準は「公衆の被ばく限度年1mSvの法令」違反
     ・年20mSv規準の危険性
     ・年1mSvに引き下げよとの国連人権理事会勧告について
15:00〜0 原子力規制庁、資源エネルギー庁との交渉
     ・ALPS処理水は告示濃度以下なら海洋放出可能の見解を撤回せよ
     ・長期保管・管理を方針に具体化を進めよ
     ・モニタリングポスト削減の撤回
16:00〜 交渉まとめと意見交換  16:30終了予定
呼びかけ


紹介議員
脱原発福島県民会議、双葉地方原発反対同盟、原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、全国被爆2世団体連絡協議会、反原子力茨城共同行動、原発はごめんだヒロシマ市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、ヒバク反対キャンペーン
福島みずほ参議院議員

15万910筆の署名を背景に「放射線のホント」撤回を迫りました。

第2回提出12万9676筆の署名(累計15万910筆)を前に復興庁は、「批判があることは承知している」と初めて「批判」を認めました。
これは、15万筆を超える「放射線のホント」撤回署名、市レベルでの放射線副読本の回収・留め置き、など政府の「風評払拭・リスクコミニュケーション強化戦略」に対する批判が表面化し、無視できなくなっていることを示しています。
それでも復興庁は、「だからと言って、撤回までは考えていない。」と強弁しました。
福島の参加者を中心に、「放射線のホント」が福島の実相を伝えていないことや内容が間違っている事などを追及しました。「100mSv以下で健康影響が検出困難」とされていることについて、100mSv以下でも健康影響が検出されている「CT検査の被ばく影響調査」に対する見解を求めましたが、復興庁は見解を答えませんでした。
福島原発事故の被ばくは「公衆の被ばく線量限度年1mSvの法令」違反だと追及しましたが、復興庁は「法的なことは原子力規制庁に聞いてほしい」と何ら具体的な回答をしませんでした。
復興庁は、昨年7月5日の交渉で、「放射線防護の必要性は認めるが、放射線防護は厚労省で、復興庁はその立場ではない」と回答しています。今回も、子育て世代を中心に住民が戻りたくても戻れない状況について、避難が長期に及んだことのみ言及しました。
長期に及ぶ放射線被ばくやその被害を抜きにした「復興政策」は人権侵害です。さらに「放射線のホント」撤回署名を全国津々浦々に広め、「放射線のホント」の撤回に追い込みましょう。

原子力規制庁に、「公衆の被ばく限度年1mSvは法律で守られている」と認めさせました。

東京電力福島第一原子力発電所事故で北関東、東北の広範な地域の住民が被ばくさせられ、多数の住民が一般公衆の被ばく線量限度(年間1ミリシーベルト)を超える被ばくを被りました。
しかし政府は、福島原発事故で多数の住民が公衆の被ばく限度を超える被ばくを被ったとは認めず、「一般公衆の被ばく線量限度の規制は設けられていない。」と追及を門前払いしてきました。
今回、「ICRP1990年勧告の国内制度等への取入れについて意見具申(1988年6月放射線審議会)」をテコに原子力規制庁を追及しました。
原子力規制庁は言を左右しましたが、最終的に、「公衆の被ばく限度年1mSvは法律で守られている」と認めさせました。具体的には@「『公衆の被ばく限度年1mSv』は規制体系の中で担保されている。」及び、A「原子炉施設から放出される放射性物質に関しては、原子炉施設の周辺監視区域外における一般公衆の被ばく線量が年間1mSv以下となるよう告示濃度限度を定めている。」の2点を認めさせました。
今回、福島原発事故の被ばくは「公衆の被ばく限度年1mSvの法令」違反と認めさせるには至りませんでしたが、その突破口を開くことができました。
☆☆☆放射線審議会意見具申(1988年6月)からの引用部分☆☆☆
 公衆の被ばくに関する限度は、実効線量については年1mSv、組織に対する線量限度については、眼の水晶体に対する線量限度を年15mSv、皮膚に対する線量限度を年50mSvとし、これを規制体系の中で担保することが適当である。
 このためには、施設周辺の線量、排気・排水の濃度等のうちから、適切な種類の量を規制することにより、当該線量限度が担保できるようにすべきである。

ALPS処理水の海洋放出計画の撤回を求めて追及

原子力規制庁は、福島第一原発の敷地境界では現在汚染水タンクからの放射線などによる追加線量が年間0.9mSvなので、0.1mSv相当の汚染水放出ができるとの見解を示しました。私たちは、「事故でまき散らされたセシウムから現在も被ばくしており、それを含めれば年1mSvを超える。海洋放出はできない。」と追及しましたが、原子力規制委員会は事故でまき散らされたセシウムによる被ばくを計算に含めることは最後まで認めませんでした。
社会的影響を含めたALPS処理水の取り扱いを検討している資源エネルギー庁の小委員会は昨年末以降開催されていません。全県的な要求の長期保管の結論を早急に出すべきとの質問に資源エネルギー庁は「予断を持たず検討したい」と回答しました。これに対して、「公聴会を開催した責任を持って長期保管の結論を出せ。」、「第2次公聴会を開け」などの要求が出ました。
更田委員長が事あるごとに海洋放出を誘導する発言を繰り返していることに対して、「やっとここまで来たという漁民の思いを逆なでする発言だ。分かっているのか。」、「薄めて放出することを含め、海洋放出は認められない。」、「誘導発言をするなと委員長に伝えよ」など、福島の参加者を先頭に会場から強い抗議の声が上がりました。

原子力規制委員会、モニタリングポスト当面継続の方針

5月29日、原子力規制委員会は、「モニタリングポストの撤去方針に対して反対の声が多数寄せられたので、当面継続する。」との方針を決定しました。これは、福島の全県的な反対運動の成果であり、9団体も政府交渉等を通じてこの運動の一端を担いました。
交渉では福島の参加者を中心に、改めてモニタリングポストの必要性を主張し、撤去方針の白紙撤回を迫りました。また、避難指示解除地域に新たにモニタリングポストを増設するよう求めました。
復興期間終了後のモニタリングポストの維持費確保に関して原子力規制庁は、「現在は復興特別会計から出ており、復興期間終了後にどのような形になるかはわからないが、維持費を確保する」と回答しました。

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