長期化するイチエフ労働者の被ばく

緊急時作業(2011年3月13日~12月16日)
2011年3月13日~2011年3月末まで
   東電社員1696人、下請等2286人、計3382人が従事した。
   下請け等従事者が大部分を占めた(3月57.4%、4月71.7%、5月79.8%、6~12月80%台)。
2011年3月13日~2011年12月末まで
   東電社員3282人、下請け等16308人、計19590人が作業に従事した。
詳細はイチエフ緊急時作業の被ばく(2011年3月~12月)をご覧下さい。

その後も高線量下での作業が続いた

表3 緊急時作業従事者とその後の従事者
期間 東電 下請
2011/03~2011/12
(緊急時作業)
3,282人 16,308人
2012/01~2016/03
(第一線量管理期間)
4,712人(注) 42,265人(注)
2016/04~2021/03
(第二線量管理期間)
2,456 22,568
2021/04~2025/06
(第三線量管理期間)
2,010 17,647
(注)第一線量管理期間は緊急時作業とその後の作業を分離していない。

緊急時作業の後に行われた作業
汚染水処理のための施設建設・運転・吸着剤やスラッジなど廃棄物処理
建屋内の線量調査・水位測定・写真撮影の作業とそのための除染
構内のがれき撤去・フェーシング
不要タンク解体、原子炉建屋カバー設置
4号炉燃料プールからの使用済み燃料取り出し
凍土遮水壁建設
原子炉格納容器内のデブリ調査のための除染・壁の穴あけ・デブリ調査などの作業
燃料プールの燃料取り出しのための建屋カバー除去・除染・取り出し装置の設置
1/2号機排気筒の解体
タンクの解体
デブリ取り出し作業。

作業従事者の推移

作業従事者は、事故発災以降増加し2011年7月に7800人台のピークとなり、そ後減少し2011年8月~2013年9月は概ね横ばいで推移した。
・2013年10月ごろから増加し始め、2015年3月に1万2300人台のピークとなる。その後減少傾向が続いた。
・2014年4月から2016年2月にかけて、準備を含め、凍土遮水壁の建設工事が行われた。これが2015年3月のピーク前後の従事者数の増加となっている。
・2019年4月以降は6000人台で推移した。
・2021年10月頃から増加傾向を示したが、2022年10月頃には止まり、その後は同じ水準を推移している。

平日1日の従事者数の推移
・発災以降増え続け、2015年2月~3月に平日1日の従事者が7000人を超えた。その後減少に転じた。
・2019年3月に3000人台となり、その後増加傾向に転じた。
・緩やかな増加傾向を示しながら、3000人台~4000人台で推移している。
表4 平日1日あたりの従事者数の推移(2013年4月~2025年7月 実績数)
 出典:廃炉・汚染水対策チーム会合/事務局会議資料「廃炉・汚染水対策の概要」
 
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
2013       2950 3060 3130 2990 3130 3290 3220 3410 3540
2014 3730 4020 4270 4450 4840 5490 5730 5800 6440 6220 6600 6890
2015 6570 7130 7450 6940 6800 6900 6740 6690 6670 6830 6450 6430
2016 6370 6720 6360 5790 5940 5910 5980 5850 5740 5920 5960 6010
2017 5850 6110 5940 5470 5590 5530 5460 5380 5230 5150 5090 5050
2018 4930 4970 4740 4140 4260 4250 4260 4260 4210 4050 4160 4270
2019 4190 4400 3980 3440 3610 3610 3630 3660 3730 3790 3990 4070
2020 4120 4210 3920 3580 3570 4020 3980 3850 3770 3930 4070 4060
2021 3910 4220 3890 3020 3200 3680 3690 3020 3500 3800 3890 3850
2022 3920 4170 3890 3620 3550 4100 4170 3500 4270 4420 4620 4410
2023 4590 4640 4550 4360 4120 4480 4600 3540 4590 4640 4500 4640
2024 4430 4670 4240 4130 3610 4540 4540 3790 4450 4560 4730 4690
2025 4760 4890 4530 4110 4180 4670 4690



下請労働者の被ばく状況
高線量下の被ばく労働が長期化し、下請け労働者が被ばく労働を担うという事故前と同じ状況になってきている。

表5 線量管理期間(5年間)ごとの被ばく線量の推移 315
年度2011~20162016~20212021~2026
所属東電下請東電下請東電下請
1mSv以下12461275913911034513679343
1超え~5mSv以下908961761347823892936
5超え~10mSv以下507543920125311391797
10超え~20mSv以下61957981592451771991
20超え~50mSv以下6336515902050381436
50超え~75mSv以下328179823500144
75超え~100mSv以下321059000
100mSv超え150240000
従事者合計471242265245622568201017647
最大線量(mSv)678.80238.4259.7388.6237.2672.37
平均線量(mSv)22.4311.763.276.962.115.75
集団線量(人・Sv)105.74977.9157.14.2101.5

・事故発生から2016年3月末までの5年間では、従事者4万7千人のうち20%を超える1万84人が20mSv以上被ばくし、その85.8%を下請け労働者が占めている。
・2016年4月から2021年3月末までの5年間では、従事者2万5千人のうち10.2%を超える2551人が20mSv以上被ばくし、その96.4%を下請け労働者が占めている。
・2021年4月から2025年6月末までの4年3か月間では、従事者1万9657人のうち8.2%を超える1618人が20mSv以上被ばくし、その97.7%を下請け労働者が占めている。

下請労働者の被ばく状況の変化
・年間20ミリシーベルトを超える労働者は、2018年度以降いない状況となっている。
・年間1超え5ミリシーベルト以下の労働者は事故初年度の4623人から、2024年度では2078人に減少している。
・被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下の労働者の割合は次第に高まっている。
 2012年度では、12116人中4239人が年間1ミリシーベルト以下で、約35%であった。
 2024年度では10499人中6627人で、約63%を占めている。

イチエフ下請け労働者の被ばく状況の推移を詳細に検討しましょう。
表6 イチエフ下請け労働者の年間被ばく線量と人数の推移
  注1)2011年度は例外的に2011年3月11日~3月31日を含む。
  注2)2011年度は緊急時作業を含むため、年間被ばく線量は50mSvを超える。
年度            被ばく線量(mSv)合計人数
1以下1超~5以下5超~10以下10超~20以下20超~50以下50超
20114633462325592897266035117723
2012423933271875200067502660
20134722373918972067629013054
20147358531527742599996019042
20156599511422471947592016499
20167038437113931139216014157
2017659735711038113374012413
201852842856870853009863
201951852365857917009324
202048832319854926008982
202147712247925836008779
202259672261966708009902
20236448213711358090010529
2024662720789908040010499



線量区分の実人数を全従事者に対する割合(%)にしてみると次の図の様になります。
第一の特徴は、全体として実人数の変化と比べてなだらかな変化であることです。
第二の特徴として、下記の①~⑤が挙げられます。
①年間1mSv以下が事故当初の30%から単調に増加し、2014年度は63%に達していること。
②年間「20mSv超え」は2018年度以降見られないこと。
③年間「1超え~5mSv以下」は2016年度以降単調に減少し2024年度では全従事者に対して約20%を占めること。
④年間「5~20mSv」はほとんど変化せず、全従事者に対して約17%を占めていること。

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